登山家の石原智幸さんに会って来た

2015年6月28日の日曜日の19時。僕は泥酔していた。一日中何も食べていなかったのにもかかわらず、ワインを嗜んでしまったからだ。夕食の牡蠣とワインのコラボは最高だったが、今にも全てを吐き出してしまいそうなほどの切迫感に追われていた。

そのとき、一通のメール着信が僕の右ポケットを揺らした。井上さんからだ。井上さんは僕の職場の同僚で、職場では通路を挟んで僕の隣に座っている。
日曜日に一体何の用があるのだろう。仕事で何かをやらかしてしまったのだろうか。

などとは全く考えずに、おもむろに着信画面を開いた。

お疲れさま!
今日の夜空いてますか?
22時くらいにNZのガイドさんと会うけど、
もし良かったら一緒に。

そうだ。そういえばそんなことを約束していた。井上さんは海外で勤務していたことがあるのだけど、その時の知り合いの話を聞きに行かないかと誘いを受けていたのだった。

そういえば、そんな話もありましたね!

なんてことは言えず、集合場所と時間を聞いて向かうことになった。

スタバでのひととき

集合は21時30分に荻窪駅。集合時間よりも早く駅に着いてしまったので、僕はスタバで過ごすことにした。どうせカフェに来たのであれば優雅に過ごしたいものだ。店内に流れるボサノバとコーヒーの芳醇な香りが購買意欲をそそる。

「ご来店ありがとうございます!」

レジを挟んでバンビ顔の女店員がそう口を開いた。毎度思うがスタバ店員は笑顔が爽やかだ。それはまるで、開栓したばかりのポカリスエットのようだ。汚れなき潔癖な笑みを僕に向ける。

「ご注文をどうぞ!」

バンビが催促した。ふむ…何を頼むべきであろうか。
季節のオススメの「ストロベリー クリーム フラペチーノ」で甘酸っぱく過ごしてみようか。いや、気温が下がって来ているから、ホットの「キャラメル マキアート」でまったり過ごしてみてもいいかもしれない。レジの前でしばし悩んだ後、バンビに向かってこう答えた。

バナナって単品でいけます?

井上さんからの連絡

スタバでしばらく過ごした後、井上さんから連絡が連絡が来ていることに気付いた。

東改札から出て北口に出て
UFJ前で

着信から既に6分が経っている。急がなくては。
やや小走りで…というのは嘘で、大地主のように余裕をもって三菱UFJ銀行に向かった。

バイクで登場した井上氏

集合時間に4分ほど遅れて集合場所に着いたのだが、井上さんの姿は見つからない。三菱UFJ銀行の建物内部に侵入しようかと考えた矢先、後方から声が聞こえた。

「おーい」

振り返ると僕の眼前に、バイクに手をつき斜めに構える男がいた。井上さんだ。

井上さん

それにしてもラフな格好だ。平日にスーツをビシッと決めて仕事に臨む井上さんの姿はそこにはない。半ズボンにジャージの出で立ちは、部活帰りの16歳に見える。

DSC_0052
普段の井上さん。

「バイクで登場っすかwww」

「いやあ…実は友だちとバスケやっててさ。その帰りなんだよね。」

やはり部活帰りであった。

「あの、登山家の方は一体どこにいらっしゃるんですか?」

「あぁ…これから家に向かうんだよね。とりあえず、後ろ乗んなよ。」

「マジっすかw俺実はバイク初めてなんですよね///」

「大丈夫。優しくするからさ。」

16歳の高校生と思えぬ器の大きさだ。僕は井上さんと同様に白いヘルメットを被り、後部座席に跨がった。後部座席に座るとバイクが発進した。

2015-06-28 21.42.54

赤信号で停車中に撮影した1枚。バイクを運転したことがないので前部座席の感触はわからないのだが、少なくとも後部座席は死ぬほど怖い。死んでないけど。

2015-06-29 00.53.35

顔が引きつっているのがおわかりだろうか。

羅臼岳に登頂するともさん

バイクに揺られて10数分。とあるアパートの前に到着した。どうやらここが登山家”ともさん”のお家であるらしい。僕らはアパートの階段を上り、インターホンを鳴らした。

「あ、ど〜も〜」

中から人の良さそうな男性が姿を表した。ともさんだ。僕らは差し入れのビールを手渡し、家の中に入った。

「久しぶりだね〜」

「あ、お久しぶりです〜」

井上さんとともさんが仲良さそうに談笑する。

実は僕は今回、前情報がほとんど無い中で来たのだけど、ともさんこと石原智幸さんは100カ国以上を旅するスーパーリア充30代クライマーだ。高校時代は陸上部。元々は登山に興味などなかったのだが、いつしか山に登ることが大好きになってしまったそうだ。それはまるで、友だちとしてしか考えていなかったのに、突然に恋心が芽生えてしまったかのよう。出会いは突然にである。

実はともさんもブログを運営しており、昨年北海道の羅臼に行った時の写真を見せてもらった。写真をお借りしたので紹介してみようと思う。

知床

凄くかっこいい写真。その厳寒さはまるでヨーロッパのよう。北海道だとは思えない。

羅臼岳朝日 朝日国後島

羅臼岳から望む朝日。神秘的な朝だ。

羅臼岳山頂

羅臼岳の山頂。楽しそう(小並感)

楽しそう

楽しそう(小並感)

落ちたら死にそう

眼下には流氷!落ちればダチョウ倶楽部でもシャレにならない。

昆布くそ美味い

昆布がクソ美味かったそうだ。ベロベロ食べられてしまうらしい。ベロベロ。

確実に美味いことがわかる

ウニもクソ美味かったらしい。よだれが出てくる。

厳しい自然

順風満帆に見える山登りだが、実は山を下って来た最終日に勢い余って雪に足が捕まってしまったそうだ。その際に、決して足から聞いてはいけない音が聞こえたそうだが、特に痛みも無く乗り切ったそう。後日痛みが出て来たので医者のところに行くと、靭帯がひどくやられていたそうだ。

しかも、歴来の羅臼岳の登頂者の中では最短で周ってきたというのだから驚愕である。

靭帯

この時すでに靭帯が逝っちゃっていたそう。

夢のある変顔

ともさんの家にて!特に要望は出していないのだが、勢いのある顔を魅せてくれた。テレビ画面に表示されている「夢」とも相まって、なんともメッセージ性の強い写真が出来上がった。

余談だが、スイスで共に働いていた頃の井上さんはとても生き生きしていたそうだ。観光客からのリピーターも多く、非常に人気であったとか。萎れた菊の花のような今の姿からは全く想像が出来ない。他人事ながら、日光の下で適度な水が得られることを祈ろう。

ともさんテレビがNHKに出るよ!!

家の前での二人

実はともさんこと石原智幸さん、7月13日(月)のNHKBSプレミアム「にっぽん百名山「皇海山」」に出演するそうだ。ともさんの生の姿を見ることができるので、気になる人は見てみよう!!

おわりに

2015-06-29 01.09.38

帰りは井上さんとラーメンを食した。今回は、お二人ともありがとうございました!

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元公務員。「ゆるく生きたい…!」「夢がありそう…!」と希望を持って地方から上京したものの、東京の荒波に晒され地獄感を味わう。過労とストレスで体を壊すぐらいなら冷蔵庫を壊そう。