2020年の思い出深いホステル・ホテル9選

今年が早くも終わろうとしている。あなたの2020年はどうだっただろうか。

自分はといえば、1年間続けてきたNO HOUSE生活を離れ、3月に浅草近辺にアパートを借りた。東京五輪が開催されるため、ホステルの値段が上昇することを見越したためだ。しかし、結局五輪は開催されず、外国人観光客の数で経営を続けていたホステルは苦境に立たされた。多々存在した格安で素敵なホステルのいくつかは撤退してしまった。3月から始めた仕事はベンチャーでのバックエンド開発で、職場と自宅の両方で新規のAPIを開発していた。

ガタはすぐに来た。眠れないのだ。自宅に一人でいると妙にムシャクシャした。緊急事態宣言下で飲食店は20時に閉まり、家の外に出ること自体がはばかられた。ダンボールを積み上げただけの即席机に向かってコードを叩き、夜はコンビニ飯を食って寝るだけの生活。次の日も忙しいからと、眠剤を2錠ほど飲んで22時には寝ようとした。しかし、布団の上でもじもじしながら1時間、2時間と過ぎていくと、無性に腹がたつ。とはいえやることもなかった。限界だった。

もちろん、もっと悲惨な生活をしている人はいると思う。コロナ禍で贅沢は言うな、と言われるかもしれない。頭ではわかっているが、体は言うことを聞かなかった。

そんな時、癒やしてくれたのはやはり旅の存在だった。ゴールデンウィークにお忍びで出かけた川崎への自転車旅行は運動不足の体に現実を突きつけたが、病んだ心に良薬を与えた。同じく自転車で出かけた潮見への旅は、アパホテルの温泉が気持ちよかった。チェーンが錆びついた俺のクロスバイク、最高や!

7月、気付くと家を解約していた。15万円ほどの違約金を払ってでも出たのである。住民票を都内のホステルに移し、気持ち新たに放浪生活を始めたのである。年末最後の記事は、今年泊まって印象に残ったホステル・ホテルである。閉業中のホステルも含めて記録に残しておこう。

Theater Zzz

いきなり超絶変わり種宿。

人工芝を敷いた上にテントを並べ、寝袋を敷いて寝る、というスタイル。都内の住宅街にいながら、キャンプ場に来ているかのような感覚を味わうことができる。夜は20時からスクリーンで映画が上映されるので、鑑賞後は謎の一体感が生まれる。仕切りのない開放的な一室であるために、屁をこくと部屋中に響き渡るので注意。2回ほど大放屁音を響かせてしまった。スタッフさんが良い意味で雑、良い。

ザ ミレニアルズ 京都

iPod touchでベッドの角度、部屋の照明を調整する近未来型変態ホテル。夕方から一時的に始まる「ビールの飲み放題」はお得感のある素敵なサービス。イケてる人たちが宿泊しているので、気後れしないように注意。京都の繁華街四条河原町の近くに位置し、快適なコワーキングスペースが確保されている。飯を食うにも作業するにもサイコー

エンブレム ホステル 西新井(閉業中)

駅の目の前にあるホステル。レセプションのある2Fには開放的なカフェ兼レストランがあるほか、駅の中にPRONTOがあるので作業場所には困らない。駅を挟んだ西口から3分歩けばスーパー銭湯「THE SPA 西新井」があるので、ホステルのシャワーが物足りなくなったあなたにはおすすめである。

チェックイン直後にドミトリーのベッドで寝ていたところ、カーテン越しににオランダ人に話しかけられた。日本が初めてのようで、「渋谷にクラブはあるか?」「秋葉原までは歩いていけるか?」などと聞かれた。俺はドキドキしながら、しょぼい英語で応えた。これだよこれ、日本人の常識から考えるとあり得ないことが起こる。だからホステルなんだよ。

フォーカス蔵前

最近見つけた蔵前のホステル。1,000円程度で激安ながら、比較的清潔に保たれている稀有な場所だ。今の時期になぜか英語が飛び交い、宿泊客同士がワハハと喋る居心地の良い共有スペースが広がる。全体的にゆるい雰囲気の隠れスポットである。寝る前に酒を買ってほろ酔いで寝ると素敵な気分になれる。

ファーストキャビンTKP市ヶ谷

2,000円程度で泊まれる便利なビジネスホステル。市ヶ谷駅から徒歩3分。コワーキングスペースに、浴場、快適なカプセルベッドが付いている。比較的サラリーマンが多め。あまり思い出らしい思い出はないが、機能的で安いので利用しがち。コンビニのような存在なのである。

はる家 ならまち

奈良県にある超絶和風宿。明治・大正時代にタイムスリップしたかのような佇まいで、木のぬくもりをふんだんに感じることができる。インスピレーションが生まれること間違いなし。今日からあなたも金田一耕助。1ヶ月滞在すれば、100万部も売れる小説を書いていることだろう。

スタッフさんに教えていただいたマイナーなお寺が厨ニ感抜群。大当たりだ。思い出深いのは、宿の近くのおでん屋「竹の館」である。やけにでかいおにぎり、からしをたっぷり付けた大根、卵がめちゃくちゃ美味い。テーブルの奥にはワハハ談笑している人がいる。でも自分はただ黙々と食べてるだけで楽しい。義務感を感じない。幸せだと思った。

YOLO HOTEL MUSEUM(閉業中)

大阪西成の北側、寂れた住宅街に突如現れる機能的なホテル。

高速Wi-Fi、電源の付いた開放的なカフェ、清潔なシャワー、新世界にも難波にも行きやすいロケーション、コンパクトなシングルルーム、2,500円程度の安価な値段と生活拠点として活用できるレベル。昨年1ヶ月程度滞在したために、2月に訪問した際には顔が覚えられていた。照れる。コロナの影響で新規予約を停止しているが、復帰が待たれるホテルのひとつである。

アパホテル&リゾート 両国駅タワー

Go to キャンペーン以降の生活拠点のひとつ。もはやアパホテル抜きには今年を語ることはできない。

アパホテルといえば、駅の広告で見る女社長の胡散臭いイメージがまず頭に浮かぶだろう。しかし、一度泊まれば最後。離れることができなくなるのだ。アパホテル公式アプリからの予約で4,000円、さらにGo to キャンペーンによる30%の割引、1,000円分の地域共通クーポン、後ほどキャッシュバックのある10%分のポイントが付いて、実質2,000円程度で泊まれてしまう。また、両国のアパホテルには地下に露天風呂付きの大浴場がある。東京のスーパー銭湯は軒並み1,000円以上はするのが普通であるから、いかに破格かお分かりいただけただろうか。キャッチコピーは”You’ll be back”だ。

マスタードホテル浅草1(閉業中)

浅草駅の近くにある思い出深いホステル。去年の12月から今年の1月までひたすら泊まっていた。浴場や十分な広さの共有スペース、快適なカプセル型のベッドが付いて1,800円。清潔で妙な居心地の良さがある。

当時の浅草といえば、多様な国からの観光客が押し寄せていた頃だ。浅草寺を中心とする商店街に、お気に入りのPRONTO、ドン・キホーテ、ドブ臭漂う浅草地下街、チェーン店から個人経営まで揃う飲食店がずらりと並び、徒歩圏内で何もかもが済んでしまう便利さがあった。そこにアジア圏やヨーロッパ圏などの観光客が雑多に集う、超多様な街だ。マスタードホテル浅草1は、彼らと同じ空間を共有できるひとつの場所だった。あの頃が恋しいと思う。

それではまた来年。良いお年を。

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元公務員。「ゆるく生きたい…!」「夢がありそう…!」と希望を持って地方から上京したものの、東京の荒波に晒され地獄感を味わう。過労とストレスで体を壊すぐらいなら冷蔵庫を壊そう。