2019年の反省と今後:未来を予測しカオスに飛び込む。

2019年も残り数日。

この時期に毎年思い出すのは、昨年の年末年始の動きである。実家に帰り、夕方までスターバックスに入り浸り、友人との同窓会でたらふく飲んで眠りに着けばお正月だ。「あれ、この前神棚掃除したやんけ」と雑煮を頬張りながら、時間の速さを感じるのである(実家の雑煮はとても美味しい)。

2017年までの社会人生活が闇であるなら、2019年は神々しく輝く光である。アジアからヨーロッパまでのユーラシア大陸をバイクで縦断するノンフィクション「珍夜特急」に影響を受け、台湾、韓国、タイの安宿を回る。スキルセットは未熟ながら、WEB系エンジニアとしての活動が軌道に乗ってくる。個人開発のリゾートバイト求人検索サイト「RESORN(リゾーン)」の機能を追加し、世の中に出す。やろうと思っていたことを全て実現できた1年である。

今年は #家無しプロジェクト と銘打ち家から離れるプロジェクトを始めた。一人暮らしでもシェアハウスでもない、その日暮らしの生き方である。

確かに家を決めて定住すれば何かとメリットがある。風雨は避けられるし、荷物は置けるし、外の世界から隔絶された環境で安心できる。しかし、定住すれば家に縛られる。平日は同じ通勤ルートの往復になり、休日は終電までに帰らなければならない。敷金・違約金を考えて、最も費用がかからない方法を選択するなら1年は住まないといけない。

このような馬鹿げた選択肢への反感から始めたのが #家無しプロジェクト なのである。幸いにも環境は整っていた。家具以外の荷物はサマリーポケットを通して倉庫に預けることができるし、Booking.comを使ってゲストハウスを3分で予約できる。家がなくても生活できる環境は整いつつあるのだ。

以下は2019年に泊まった宿泊金額を月別でまとめたものだ。5月と9月以外はほぼゲストハウスとホテルに泊まったのだが、40,000- 73,000円程度の金額に収まっていることがお分かりいただけるだろう。

豊かさとは選択肢の豊富さである。

年収が良くても、所属する会社に依存せざるを得ない状況なら豊かとはいえない。苦手な上司のもとで延々と仕事を続けなければならないかもしれないし、病気や怪我で失職せざるを得ないかもしれない。仕事を選ぶことができれば、1%のリスクに怯えることなく毎日を送ることができる(そして楽しい)。

そういう点では、ナシーム・ニコラス・タレブの頑健性とか反脆弱性に惹かれるところがある。どの市場でも通用するよう汎用的な能力を強化できれば、もしもの際に対応できる力が付く。見かけの安定は脆い。

今年は自分の中の哲学が固まってきた年だ。強く影響を受けた本に「アルゴリズム思考術:問題解決の最強ツール」というのがあって、根本から考え方を変えるほど抜群の効果があった。特にランダム性に関する章はまさにバイブルである。

コンピューターは標準的な「決定論的」アルゴリズムを使い、いつも完全に同じパターンで手順を実行していくと一般に思われているが、乱択アルゴリズムではランダムに発生させた数字を使って問題を解決する。 – アルゴリズム思考術:問題解決の最強ツール

たとえば、あなたが家を借りることを想像してみよう。すでに予算と住む場所、仲介業者を決めており、先方から提案された場所を比較した結果、最も良いところが見つかった…。一見するとベストな意思決定だが、全体の最適な値ではなく極大値と呼ばれる値である可能性が高い。

これは山登り法と呼ばれるアルゴリズムで、現在の解より近傍解の成績の方が良い場合に現在の解と入れ換える方法になる。周囲の値と比較してベターな値を選択し続けることになるが、極大値に達してしまえば出ることができない。まるで井の中の蛙である。

全体の最大値を見つけたいのなら、ランダム性を活用すべきである。通勤できる範囲で住む場所を適当にピックアップしてみるべきだし、仲介業者も馴染みのない会社に変えてみるべきである(ランダム再出発山登り法)。見えないものにこそ宝物が隠れている。

今のリターンはそれまでの筆者の「業績」とか「伸びそうな分野」に基づいた帰納的判断だけによる意思決定では得られなかったであろう。未知のものには果敢に学び、飛び込んでみるべきであるという宗教だけが将来を変えてくれるのだ。 – 大切なことは(実は)ギャンブルが教えてくれる: 集中と分散の両取りと「良い宗教」による演繹 – Objective Subjectivism

ただし、落とし穴には注意すべきである。ランダム性を活用した先には山ではなく谷が待っているかもしれないからだ。たとえば、旅に向かった先で食中毒にかかってベッドから動けなくなるかもしれないし、詐欺にあってクレジットカードから大量の現金が引き落とされてしまうかもしれない。今と異なる環境が地獄である可能性は否定できないのだ。

だから対策を立てることが必要になる。PDS(Plan – Do – See)的な観点で言えば、Planが最も重要で予防と力の温存の2点に分けられていると考えている。

たとえば病気に焦点を当てれば、狂犬病にかかる可能性があるからワクチンを打つ・危ない地域は行かないようするが予防的な観点で、病院に行かざるを得ない状況になった時のためにクレジットカードの保険を確認するが力の温存的な観点だ。予測や仮説を立てておけば、不測の事態に陥る可能性は下げられる。しかし、不測の事態は避けられないから、遭遇した際に対応できるだけの余力を計算し計画に組み込む必要がある。

「考える前に行動」は、おそらく愚策である。

さて、東京オリンピックが開催される2020年の7、8月は宿泊費が高止まりしそうだ。Booking.comで掲載中の「マスタードホテル浅草1」の2020年の価格を月ベースで集計したものだ。夏場の価格が2倍に跳ね上がっていることを確認できる。

この点、都内なら家を借りた方が安く済ませる選択肢もある一方で、都内から出る選択肢もある。面白いのは後者だから、後者を選択できるように力を注ぐことになるだろう。未知に飛び出せば長期的にはリターンが得られるし、未来を予測すれば身を守ることができる。2つを組み合わせた視点は、安全に面白い人生を歩むための薬なんだ。きっと。

それでは皆様、良いお年を。

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元公務員。「ゆるく生きたい…!」「夢がありそう…!」と希望を持って地方から上京したものの、東京の荒波に晒され地獄感を味わう。過労とストレスで体を壊すぐらいなら冷蔵庫を壊そう。