【詳解】SEOで競合のベンチマーク分析をする6つのステップ

SEO(検索エンジン最適化)はWEB集客の重要な手段のひとつだ。SNSへの比重の高まりや、Googleの度重なるアップデートによる検索順位の大幅な変動という影響はあるが、未だに外すことのできない施策である。

しかし、市場や収益源(競合)の状況を把握していなければ戦略は立てられない。難易度が低く、検索ボリュームが高いキーワードに資源を投入するのが勝利のための道だからだ。そのため、施策に落とし込む前段階としてSEOにおける状況把握が重要となる。

今回は、ベンチマーク分析の考え方をステップとして提供しよう。あなたのサイトと収益源(競合)の想定トラフィックの取得を通した市場占有率の把握を目指す。

ステップ①:キーワードをエクスポートしよう

ステップ① キーワードをエクスポートしよう
ステップ② KWのグルーピング
ステップ③ 収益源(競合)の設定
ステップ④ 検索順位の取得
ステップ⑤ 想定トラフィックの出力
ステップ⑥ Google Data Studioへの反映

まずはキーワード選定から始めよう。キーワードを選定するツールはいくつかある。

Googleのキーワードプランナーは、PPC広告やSEOの戦略を考える上で真っ先に思いつくツールだが、Google Adwordsの広告を出稿しなければ細かい数値を見ることはできない。また、Ahrefsは各キーワードの月間検索ボリュームや入札価格を把握できるほか、競合サイトの想定トラフィックやリンクビルディングの状況を丸裸にできる最強ツールだが、最安99$(monthly)と高めの料金設定である。

そこで、無料で利用できる「Uber suggest」をおすすめしたい。

uber suggestトップページ

たとえば、Ubersuggest内で「リゾートバイト」と検索してみよう。すると、月間検索ボリューム、CPC等を表示してくれる。月間検索ボリュームはベンチマーク分析の際に利用するので、「Export to CSV」を押下してCSVにエクスポートしておこう。

ubersuggest内でリゾートバイトを検索

問題はキーワードの選定方法だ。キーワードを選定するには、「あなたの商品は何か?」「誰をターゲットとするか?」「何がベネフィットか?」「収益源(競合)は誰か?」「どうやってターゲットと接触するか?」に答えておく必要がある。「ペルソナ」や「カスタマージャーニーマップ」であらかじめユーザー像を固めておくと良いだろう。

ステップ②:KWのグルーピング

ステップ① キーワードをエクスポートしよう
ステップ② KWのグルーピング
ステップ③ 収益源(競合)の設定
ステップ④ 検索順位の取得
ステップ⑤ 想定トラフィックの出力
ステップ⑥ Google Data Studioへの反映

2つ目のステップは、キーワードのグルーピングだ。選定・注力するキーワードが数十程度の個数であれば問題ないが、数百、数千程度にまで上るとより重要になる。

たとえば、こんな場面を想像してみよう。あなたはWEB担当者で数千のキーワードのモニタリングを実施することになった。検索順位が上昇しているキーワードもあるが、下がっているキーワードもある。さて、どのキーワードに注目すべきか。

ここで問題になるのは、施策の優先度が決められないということだ。キーワードの数があまりにも多いので、非常に混乱しやすい。

だから、キーワードごとにカテゴリ分けすることをおすすめする。カテゴライズしておけば、カテゴリごとの大まかな検索順位の変動をモニタリングしやすくなり、施策の優先度を設定しやすい。分析は、マクロからミクロの粒度で入ることが大切なのだ。

注力キーワードをカテゴライズ

たとえば、各キーワードは「Category(カテゴリ)」「Perceptionflow(パーセプションフロー)」「Granularity(粒度)」で分類できる。

  • Category(カテゴリ):キーワードの属性、分類。「リゾートバイト 東京」なら「地域」とか「リゾートバイト 短期」なら「期間」にカテゴライズできる。
  • Perceptionflow(パーセプションフロー):キーワードを検索した時のユーザーの心理プロセス。AIDMAやAISASなどから流用しても良い。
  • Granularity(粒度):キーワードに対する検索ニーズの粒度。たとえば、「リゾートバイト」なら「抽象的(検索ニーズが複数ありそう)」、「リゾートバイト 白浜 海の家」なら「具体的(検索の時点でイメージをある程度膨らませていそう)」になる。

参考:パーセプションフロー・モデリングとは | FICC BLOG | FICCのデジタルマーケティングブログ

ステップ③:収益源(競合)の設定

ステップ① キーワードをエクスポートしよう
ステップ② KWのグルーピング
ステップ③ 収益源(競合)の設定
ステップ④ 検索順位の取得
ステップ⑤ 想定トラフィックの出力
ステップ⑥ Google Data Studioへの反映

だから、収益源(競合)を設定して、自分の位置を把握することが重要になる。3つ目のステップは、収益源(競合)の設定だ。SEOの施策は基本的にコンテンツが命で、ユーザーのためのコンテンツ制作が重要だ。しかし、検索結果1ページ目に表示されるページ(SERP)は、1〜10位の10個のみに留まる。つまり、他人が作成したコンテンツとの椅子取り合戦になるということだ。

選定時は、「注力しようと考えているキーワードで検索上位にいるサイトか?」「十分な検索トラフィックがありそうか?」というポイントで絞り込んでいくと良いだろう。検索結果を見つつ直感的に判断しても構わない。

直接競合と間接競合
収益源(競合)には直接競合と間接競合がある。

  • 直接競合:自分と同じ商品やサービスを提供している競合のこと。
  • 間接競合:自分と異なる商品やサービスを提供している競合のこと。

ステップ④:検索順位の取得&反映

ステップ① キーワードをエクスポートしよう
ステップ② KWのグルーピング
ステップ③ 収益源(競合)の設定
ステップ④ 検索順位の取得
ステップ⑤ 想定トラフィックの出力
ステップ⑥ Google Data Studioへの反映

4つ目のステップは、検索順位の取得だ。検索順位取得ツールは「GRC」や「タダレポ」などがあるが、「SERPOSCOPE」を使っている。登録できるキーワード数に上限がないうえ、無料で利用できるからだ。詳しい使い方やインストール方法はインターネット上に溢れているので、そちらを参照されたい。

検索順位を取得したらエクスポートしておこう。

ステップ⑤:想定トラフィックの出力

ステップ① キーワードをエクスポートしよう
ステップ② KWのグルーピング
ステップ③ 収益源(競合)の設定
ステップ④ 検索順位の取得
ステップ⑤ 想定トラフィックの出力
ステップ⑥ Google Data Studioへの反映

たとえば、「リゾートバイト」と「リゾートバイト 体験談」というキーワードを比べてみよう。あなたのサイトの検索順位は「リゾートバイト」で10位、「リゾートバイト 体験談 沖縄」で1位だった。平均は5.5位。これは高いか低いか。ふむ、よくわからない。月間検索ボリュームが考慮されていないからである。5つ目は想定トラフィックの出力だ。実は検索順位を取得するだけでは、自分の位置を正確に判断できない。重要なのは、各キーワードの検索順位ではなく流入数だからだ。

極端な話、「リゾートバイト」が20,000件の一方、「リゾートバイト 体験談 沖縄」が5件しか検索されていないなら、後者の重要性は怪しくなる。

月間検索ボリュームを考慮しないと本当の影響力は不明

そこで、想定トラフィックが重要になる。想定トラフィックは、月間検索ボリューム×想定CTR(クリックスルーレート)で計算できる。Announcing: 2017 Google Search Click Through Rate Studyによれば、2017年の検索順位1位のCTRは21.12%だったようだ。

もちろん、これは各キーワードの正確なCTRではない。しかし、検索順位をただ取得するよりも良い数値を与えてくれる。各キーワードの検索順位と想定CTRから想定トラフィックを算出すると、以下の結果が得られる。

各リゾートバイトサイトの想定トラフィック

こうして想定トラフィックの合計を算出できた。あなたのサイトと収益源(競合)の市場占有率(市場シェア)を可視化できるのである。

ステップ⑥:【補足】Google Data Platformへの反映

ステップ① キーワードをエクスポートしよう
ステップ② KWのグルーピング
ステップ③ 収益源(競合)の設定
ステップ④ 検索順位の取得
ステップ⑤ 想定トラフィックの出力
ステップ⑥ Google Data Studioへの反映

特徴は、複数のデータソースを一箇所に集約できる点だ。スプレッドシート内でもグラフの作成は可能だが、MySQLやBigQueryなど別のソースからデータを引っ張ることはできない。その点、Google Data Platformでは各データと接続してグラフを作成できるので、管理がしやすい。6つ目はGoogle Data Platform(GDP)への反映だ。Google Data Platformとは、Googleが提供するBIツールで、膨大なデータを可視化し意思決定に役立てることができる(しかも無料)。

検索順位の他に、Google Analyticsでセッション数や直帰率、CVRなどを追いかけることを考えれば、BIツールでの一括管理が望ましい。トラフィックは以下の形で可視化できる。

想定トラフィック

【まとめ】検索順位から想定トラフィックを算出して競合分析ができる

今まで見たことを忘れないようにポイントをまとめておこう。

  • 対策キーワードを設定する
  • 収益源(競合)を設定する
  • 検索順位を取得する
  • 検索順位・月間検索ボリューム・想定CTRをもとに、想定トラフィックを算出する

検索順位・月間検索ボリューム・想定CTRを把握すれば、想定トラフィックを算出できる。検索順位の把握にとどまらないより正確な戦況の把握が可能になる。あなたも応用してみよう!

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元公務員。「ゆるく生きたい…!」「夢がありそう…!」と希望を持って地方から上京したものの、東京の荒波に晒され地獄感を味わう。過労とストレスで体を壊すぐらいなら冷蔵庫を壊そう。