公務員の副業禁止についての法令を確認してみた

先日、公務員退職後に収入を得る方法について記事を書いた。

公務員退職後に収入を得る方法について


収入を得る方法を4つに分けて紹介したが、在職中の副業までは言及出来なかった。今回は、在職中の副業について法令を追って行きながら、その限界を探って行きたいと思う。

副業禁止の根拠

今回は、在職中の副収入に絞って話を進めて行くことにする。仮にあなたが公務員の退職を考えているのであれば、在職中に何らかの収入を得ておくことで退職後のリスクを軽減することができる。

しかし、公務員は法令で副業が禁止されている。以下は、公務員の副業禁止について定めた条文である。

・国家公務員一般職(国家公務員法第103条)
・地方公務員一般職(地方公務員法第38条)

また、特別職公務員も副業禁止が定められており、職種ごとにそれぞれ法令が定められている。

そのため、法令に抵触しない範囲で収入を得ることが重要になる。そこで今回は、公務員の副収入の許される範囲を法令と照らしながら見ていきたいと思う。

国家公務員一般職の副業の禁止について

上で述べたように、国家公務員一般職は国家公務員法第103条により、副業禁止が定められている。第103条1項を見ると、

職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。

と定められている。

条文前半部

条文前半部では、

商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議会の職を兼ね

と記述されており、「営利企業を営むことを目的とする会社その他の団体」ないしその「役員」の定義が問題となる。

この点、「人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について」を参照すると、第1項関係1項で、

「営利企業を営むことを目的とする会社その他の団体」とは、商業、工業、金融業等利潤を得てこれを構成員に配分することを主目的とする企業体をいう。会社法(平成17年法律第86号)上の会社のほか、法律によって設立される法人等で、主として営利活動を営むものがこれに該当する。

と定められている。

会社法(平成17年法律第86号)の会社は、

◆株式会社
◆持分会社(合名会社・合資会社・合同会社)

の2種類であり(新会社法における会社の種類 | 会社設立ひとりでできるもん)、その他営利活動を営む法人等が該当する。

また、2項を確認すると、

「役員」とは、取締役、執行役、会計参与、監査役、業務を執行する社員、理事、監事、支配人、発起人及び清算人をいう。

と定められており、「営利企業を営むことを目的とする会社その他の団体」の「役員」である場合には国家公務員法第103条1項に抵触することになる。

また、「役員」の中には社員が含まれているため、公務員以外の会社で社員として働いた場合は、国家公務員法第103条に抵触することになる。

条文後半部

条文後半部では、

自ら営利企業を営んではならない。

と定められている。この点、「自ら営利企業を営むこと」の定義が問題となるが、「人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について」の第1項関係第3項を確認すると、

「自ら営利企業を営むこと」(以下「自営」という。)とは、職員が自己の名義で商業、工業、金融業等を経営する場合をいう。なお、名義が他人であつても本人が営利企業を営むものと客観的に判断される場合もこれに該当する。

と定められている。なお、第4項では、自営とみなされる個別の具体例が定められている。以下第4項の内容を掲載しておく。

一 農業、牧畜、酪農、果樹栽培、養鶏等 大規模に経営され客観的に営利を主目的とすると判断される場合
二 不動産又は駐車場の賃貸 次のいずれかに該当する場合
 (1)不動産の賃貸が次のいずれかに該当する場合
  イ 独立家屋の賃貸については、独立家屋の数が5棟以上であること。
  ロ 独立家屋以外の建物の賃貸については、貸与することができる独立的に区画された一の部分の数が10室以上であること。
  ハ 土地の賃貸については、賃貸契約の件数が10件以上であること。
  ニ 賃貸に係る不動産が劇場、映画館、ゴルフ練習場等の娯楽集会、遊技等のための設備を設けたものであること。
  ホ 賃貸に係る建物が旅館、ホテル等特定の業務の用に供するものであること。
 (2)駐車場の賃貸が次のいずれかに該当する場合
  イ 建築物である駐車場又は機械設備を設けた駐車場であること。
  ロ 駐車台数が10台以上であること。
 (3)不動産又は駐車場の賃貸に係る賃貸料収入の額(これらを併せて行つている場合には、これらの賃貸に係る賃貸料収入の額の合計額)が年額500万円以上である場合
 (4)(1)又は(2)に掲げる不動産等の賃貸と同様の事情にあると認められる場合
三 太陽光電気(太陽光発電設備を用いて太陽光を変換して得られる電気をいう。以下同じ。)の販売 販売に係る太陽光発電設備の定格出力が10キロワット以上である場合

地方公務員の副業の禁止について

地方公務員一般職も、国家公務員一般職と同様に副業禁止が定められている。地方公務員法第38条1項を見ると、

職員は、任命権者の許可を受けなければ、営利を目的とする私企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利を目的とする私企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。

と定められている。これは、地方公務員の営利企業等に従事する制限について定めたものであるが、営利企業等の従事がどの程度まで許可されるかが問題となる。

この点、自治体によって範囲が異なるため、所属する自治体に問い合わせることが一番確実であるといえる。

ちなみに、地方公務員は、地方公務員法第38条により営利企業等の従事制限がありますが、地方公務員が不動産賃貸によ… | レファレンス協同データベースでは、「大阪府の財政構造等に関する調査分析報告書(参考資料)平成22年4月」の「■他府県調査の結果(総括表)」の1つである「3.公務員制度、組織人員体制調査」 (2014/9/15現在)を紹介している。

「レファレンス協同データベース」の文中から引用すると、

「調査項目1 6.営利企業等の従事制限特例許可が必要な範囲 不動産・駐車場賃貸(3/7)」に、大阪府「賃貸を行う場合(全て)」とともに、秋田県・静岡県・愛知県・京都府・兵庫県・島根県・徳島県・福岡県の状況がわかります。この調査では、「国基準と同じ」県が多いようです。

との記載の通り、営利企業等の従事の範囲を国基準に準拠している自治体が多い模様だ。

おわりに

以上が副業禁止の根拠となる。次回は、副業の具体的な事例について記載していく。

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元公務員。「ゆるく生きたい…!」「夢がありそう…!」と希望を持って地方から上京したものの、東京の荒波に晒され地獄感を味わう。過労とストレスで体を壊すぐらいなら冷蔵庫を壊そう。